
22日に帰国したばかりのメンバーが報告
平日の夜でしたが、左の写真のように約50人分の座席はほぼ満員になりました。最近、国内でも詳細なニュースが流れるようになっていますので、関心のある方が増えているようです。AARは、8月4日に支援チームがケニアに出発しました。計4人で現地の支援ニーズ等を調査し、東部のガリッサ市内で520世帯に、食料等の支援物資を配布したそうです。4人のうち2人が22日に帰国し、今回の報告会で説明をしてくれました。

まずは、河野洋(かわの・ひろみ)さん。

次に、五十嵐豪(いがらし・ごう)さんです。
1200万人に緊急支援が必要
お二人のお話を要約すると、ざっとこんな感じです。
東アフリカ地域(ケニア、ソマリア、エチオピアなど)では、昨年後半と今年前半の雨季にほとんど降雨がなく、過去60年で最悪の干ばつとなっている。次の雨季は10月以降。主要産業は牧畜だが、干ばつにより家畜が死亡、収入がなくなり、飢餓に瀕した人たちが多数おり、約1200万人に緊急支援が必要な状況とのこと。特にソマリアからケニア、エチオピアへの難民が増加しており、毎日ケニアに1300人、エチオピアに300人流入している。難民の流入により、ホスト・コミュニティ(難民を受け入れる側の国、地域)側でも、人口の急増、衛生状態や治安の悪化、食料価格の高騰などの問題が生じている。現地での支援ニーズは、食料、水、服やサンダル(裸足ではケガしやすい)、家畜や家畜のえさ、医療サービス、学校教育等々。

AARは、まずは緊急支援として、ガリッサで物資の配布をしたのは冒頭に書きました。対象は高齢者、障害者がいる世帯で、地区の長老に相談をして対象世帯を決めたそうです。とても、きめ細かい作業にびっくりしました。配布したのは、1世帯あたり「米、とうもろこし各5キロ、砂糖と食用油が各1キロ」をバケツに入れたものでした。左の写真は、実際に配布された米とトウモロコシのサンプルです。
支援に来ているのは、もちろんAARばかりではなく国際機関、世界各国のNGO・NPOなどでして、支援内容・地域が重複したり、偏ることがないよう調整するためのクラスターミーティング(支援分野別に関係者が協議する場。こうした緊急支援では不可欠な仕組みだそうです)も行われるようになったとのこと。
世界最大の難民キャンプ
ソマリアからの難民の行き先として、ケニア国内に世界最大の難民キャンプ「ダダーブ難民キャンプ」があります。自分の不明を恥じるようですが、調査に行った五十嵐さんの説明で初めて知りました。場所は東部でソマリアとの国境から80キロ。1991年に設置されたもので、今や「人口」は40万人!キャンプで生まれた「第2世代」どころか「第3世代」も、という状況です。キャンプ内には難民が開いた小売店などもあり、「街」と言ってもよいそうです。
一緒に報告を聞いた和泉さんは「東日本大震災関係に目が向きがちだが、国外でも支援を必要としているひとがいるのを忘れてはいけない」と感じたそうです。私は、ダダーブ難民キャンプにみられるように「自らの意思に反して祖国、育った土地を捨てて国外へ逃れる」という状況が半ば常態化していることを知り、重たい気持ちになりました。でも、河野さんや五十嵐さんのような若い方々が頑張っている様子や、会場から質問が次々と出るのを見て、目を覚まされました。
AARは今後、11月まではケニア北東州での食料、生活用品の配布を行い、それ以降は雨季の降雨量をにらみながら、中長期的な支援を検討するそうですが、課題も多いとのこと。@干ばつ地域が広範囲A難民キャンプへの関心は高いが、ホスト・コミュニティであるケニア人への支援は少ないB氏族間の軋轢(氏族が違えば同じ井戸から水は飲まないetc)C治安の悪化。
こうした課題を乗り越えて、なんとか充実した支援を、と願いたいです。
(前田純弘)
AARの緊急支援プロジェクトはこちら
難民を助ける会のサイトはこちら
